今回は、2016年に公開された、『殿、利息でござる!』の感想・レビュー記事です。
歴史学者・磯田道史の著書「無私の日本人 (文春文庫)」を原作に、貧困にあえぐ江戸時代中期の仙台藩の宿場町「吉岡宿」を救った、実在の商人たちを描いた人情喜劇です。
私利私欲を捨て、町や子孫を思い行動した先人たちの生き方は、現代を生きる私たちにも、大切な気付きをくれます。
コメディタッチでクスっと笑えながらも、見終わったときには心が温かくなり、誰かに話したくなる素敵な作品です。
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『殿、利息でござる!』作品情報
公開年 | 2016年 |
上映時間 | 129分 |
制作・ | 配給松竹 |
監督 | 中村義洋 |
原作 | 無私の日本人 (文春文庫)』所収 「穀田屋十三郎」 | 磯田道史『
脚本 | 中村義洋、鈴木謙一 |
キャスト | 菅原屋篤平治:瑛太 浅野屋甚内:妻夫木聡 なつ:山本舞香 とき:竹内結子 遠藤幾右衛門:寺脇康文 穀田屋十兵衛:きたろう 千坂仲内:千葉雄大 早坂屋新四郎:橋本一郎 穀田屋善八:中本賢 遠藤寿内 :西村雅彦 穀田屋音右衛門 :重岡大毅 萱場杢:松田龍平 きよ:草笛光子 先代・浅野屋甚内 :山崎努 伊達重村 :羽生結弦 今泉七三郎:磯田道史 | 穀田屋十三郎:阿部サダヲ
見放題 | VODU-NEXT、prime video、Hulu、Lemino、FOD |
『殿、利息でござる!』あらすじ
金欠の仙台藩は百姓や町人への容赦なく重税を課し、破産と夜逃げが相次いでいた。さびれ果てた小さな宿場町・吉岡宿で、町の将来を心配する十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)から宿場復興の秘策を打ち明けられる。それは藩に大金を貸し付け利息を巻き上げるという、百姓が搾取される側から搾取する側に回る逆転の発想であった。計画が明るみに出れば打ち首確実。千両=3億円の大金を水面下で集める前代未聞の頭脳戦が始まった。「この行いを決して末代まで決して人様に自慢してはならない」という“つつしみの掟”を自らに課しながら、十三郎とその弟の甚内(妻夫木聡)、そして宿場町の仲間たちは、己を捨てて、ただ町のため、人のため、私財を投げ打ち悲願に挑む!
引用元:松竹
『殿、利息でござる!』感想・見どころ(ネタバレなし)
すごいよかったですー
冒頭30分は退屈に感じましたが、その後急激に面白くなり、ラストまであっという間でした。
タイトルやポスターからはポップでコメディ感が前面に出ている印象を受けましたが、実際は、心温まるハートフルな作品でした。
宿場町間の物資輸送を行う「伝馬役」という制度や、宿場町の人々の生活を知れて勉強になったのと、登場人物の家族の絆、人のために行動すること、見返りを求めない謙虚な姿勢が、ノンフィクション作品だからこそ深く刺さり、自分の生き方を考えるきっかけにもなりました。
見終わった後、すごく気分がいいし、誰かに話したくなる作品です。非常におすすめです!
『殿、利息でござる!』見どころ・おすすめポイント
原作は「武士の家計簿」磯田道史の著書
今作品は、磯田道史さん著の『無私の日本人 (文春文庫)』所収の短編「穀田屋十三郎」が原作です。
(穀田屋十三郎は、阿部サダヲさんが演じている人物です)
磯田道史さんは大河ドラマ『西郷どん』でも時代考証を担当するなど、メディアにもたびたび登場する有名な歴史学者です。
磯田さんは、2010年に公開され、興行収入15億円を記録した堺雅人さん主演の『武士の家計簿』の原作者でもあります。
『武士の家計簿』も幕末の武士の家計簿をもとに作られた実在の話ですが、今回も実在した吉岡宿の商人たちのお話です。
以下に映画公開時のインタビュー記事を抜粋しますが、原作「穀田屋十三郎」を書くきっかけとなったのは、『武士の家計簿』だったと言います。
――そもそもこの作品はどういう経緯で映画化されたのでしょうか。
映画『武士の家計簿』を観たという方から連絡がありまして、「私の故郷・吉岡宿にも、涙なくしては語れない立派な人たちがいたので、本を書いてください」と。それで調査をして「國恩記」という史料を読んでのですが、涙がボロボロとこぼれました。まさに私も感動のドミノに倒されてしまったわけです。
それで(原作となる)「穀田屋十三郎」を書き上げました。その後、京都のある掛け軸屋さんで、居合わせた方に「こんな本を書いたんですよ」と紹介した。その後、その方から「あまりにも感動したので、仙台の東日本放送に勤めている娘に送ったんですよ」と。そうしたらその娘さんも泣いてしまって、親友の女性アナウンサーにまたその本を渡したそうなんです。その女性アナウンサーもまた泣いてしまって、旦那さんにその本を渡した。その旦那が(本作のメガホンをとった)中村義洋監督だったんです。まさに感動のドミノ倒しということなんですよ。
引用元:東洋経済ONLINE
作品、人の縁を感じるエピソードですよね。
ちなみに磯田さんは本作にカメオ出演していますよ。(中盤あたりです)
監督、脚本は『忍びの国』『決算!忠臣蔵』の中村義洋
今作品の監督は、『ゴールデンスランバー』『白ゆき姫殺人事件』『忍びの国』などの中村義洋監督です。
2016年に公開された今作品が初の時代劇作品だそうで、この作品の後に『忍びの国』(2017年)、『決算!忠臣蔵』(2019年)と時代劇作品が続きます。
『決算!忠臣蔵』も、今作と同じように史料を基にした原作で、コメディタッチに描くところと、シリアスな見せ場とでメリハリがきいていて、見る人の感情を動かす、素晴らしい作品でした。
今作品が好きな方は、きっと楽しめると思いますよ!
ベテラン俳優陣を中心とした豪華キャスト
この作品のキャストはとても豪華で、みなさんの演技が素晴らしいです。
とにかく安心して見ていられますし、感情移入ができます。
大ベテラン山﨑努さんの貫禄はさすがですし、存在感の大きさが、この物語をさらにリアルで重厚なものにしていました。
瑛太さん、阿部サダヲさん、寺脇康文さん、西村正彦さん、きたろうさんは、コメディタッチなひとつひとつの表情や間合いが素晴らしく、また、妻夫木聡さんのお芝居は繊細で泣かされます。
意外にも阿部サダヲさんは初の時代劇出演だったそう。
そして、「なんか見たことある人たちが多いな」と思ったら、阿部サダヲさん、妻夫木聡さん、寺脇康文さん、西村正彦さん、竹内結子さん、濱田岳さん(ナレーション)は、中村義洋監督の『決算!忠臣蔵』にも出演しています。
公開年としては、今作品が2016年、『決算!忠臣蔵』が2019年なので、この座組でもう一度、という流れだったのでしょうか。
シンプルだけど飽きないストーリー展開
この作品は、ざっくり言ってしまうと藩に銭を貸し付けるため、宿場町の商人・百姓たちが金策に奔走するお話です。
とてもシンプルですが、一筋縄では行かないストーリー展開がドラマティックで非常に面白いんです。
目標金額である千両を集めるにも試練の連続。集めた後にも難題が待ち構えています。
私利私欲を捨て、周りや子孫のために行動する「無私の精神」が世代を超えて連鎖し、人々が行動を起こすことで、壁を越えていきます。
また、現代にも共通する社会や親子の問題も加わり、クスっとしたり、ウルっとしたり、ヤキモキしたり、感情移入が止まりません。
最後はすっきりとした気持ちで見終わることができますよ。
ノンフィクションだからこそ響く「無私の精神」
ノンフィクション作品というのは、それだけで説得力があり、メッセージ性が強く感じられますよね。
この作品も、実話だからこそ心に深く響き、私は自分の生き方を考えるきっかけにもなりました。
財政難の宿場町を救うため、藩にお金を貸して町として利子を受け取るという柔軟な発想、私財を投げ打つ自己犠牲の心、7年間もの歳月をかけ、なんとしても一千両を集める実行力、藩との交渉力、謙虚なこころ。
どこを切り取っても、できすぎたお話です。
フィクションだったら、「いるわけないじゃん、そんなすごい人たち」なんですが、嘘のような本当の話なんです。
実在した人の話と思うと、不思議と自分の人生を振り返りながら、「私も自分のことばかりではなく、人のために行動できる人間でいたいな」などと思うのです。
ノンフィクションだからこそ感じられるメッセージを、ぜひ受け取ってください。
『殿、利息でござる!』はこんな人におすすめ
『殿、利息でござる!』をおすすめする人
- 実話を題材にした時代劇が見たい人
- 歴史の知識ゼロでも楽しめる時代劇が見たい人
- 最近無駄遣いしちゃったなーという人
このお話は、歴史的に有名な事件や出来事を取り扱っているわけではなく、仙台藩・吉岡宿で封印されてきた感動の歴史的秘話です。
そのため、見る前に知っておいたほうがいい予備知識は特にありません。
私も、お金を集めるきっかけになった「伝馬」という宿場町の制度について、全く知らずに見ました。
作品の理解に必要な時代背景、宿場町の役割、制度、お役人の役職、役割などは、濱田岳さんがナレーションでしっかりと解説してくれますので、置いてけぼりになることなく、気軽に見れますよ。
また、「お金」が題材の作品です。無駄遣いをした経験のある人は、自分のこれからのお金の使い方を考え直すきっかけにもなる作品だと思います。
『殿、利息でござる!』が見られる動画サービス
上記以外の動画配信サービスだと、別途レンタル料やポイント購入が必要な場合がありますので、ご注意ください。
U-NEXT、prime video、Leminoは、初回利用であれば1か月間無料で見られますよ!
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2023年9月16日現在、『殿、利息でござる!』を月額利用料のみで見られる動画配信サービスは、U-NEXT、prime video、Lemino、Hulu、FODです。
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「中村義洋監督×時代劇」おすすめ関連作品
『殿、利息でござる!』の関連おすすめ作品として、中村義洋監督が手掛ける、時代劇作品を紹介します。
おすすめ関連作品
- 『決算!忠臣蔵』(2019年)
『決算!忠臣蔵』(2019年)
限られた予算内でなんとか討入りを成し遂げようとする赤穂の家老と勘定方の奮闘を描く、時代劇コメディです。
悲劇として語られがちな「忠臣蔵」を、お金という新しい切り口でコメディタッチに描いているのが新鮮です。
堤真一さんと岡村隆史さんのダブル主演で、岡村隆史さんはこの作品で第43回 日本アカデミー賞(2020年)の優秀助演男優賞を受賞しました。
脇を固めるキャストも超豪華。『殿、利息でござる!』に出演した、阿部サダヲさん、妻夫木聡さん、寺脇康文さん、西村正彦さん、竹内結子さん、濱田岳さん(ナレーション)も出演していますよ!
『決算!忠臣蔵』を月額利用料のみで見られる動画配信サービス
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『決算!忠臣蔵』のより詳しい見どころやおすすめポイントはこちらの記事にありますので、のぞいてみてください。
まとめ
『殿、利息でござる!』は、仙台藩・吉岡宿で封印されてきた感動の歴史的秘話です。
吉岡宿で子々孫々と受け継がれていく、私利私欲を持たずに人のために行動できる「無私のこころ」。
同じ日本人として誇らしく感じ、心が洗われます。
『殿、利息でござる!』は、初回利用であれば、U-NEXT、prime video、Leminoで1か月間無料で視聴できますので、興味を持った方はぜひ見てみてくださいね。
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